本作「蛇」は、干支をポップ調で表現するという発想から生まれた作品シリーズのひとつです。一般的な干支のイメージにとどまらず、より遊び心にあふれた表現を追求し、どこにでもあるような普遍的なモチーフにはしたくないという想いが制作の原点となって描きました。
作品内には、左下にオレンジの塗料が置かれており、白蛇の尻尾がその塗料につかっている。まるで白蛇自身が尻尾を使ってオレンジの絵の具を塗り、白い身体を自由に装飾しているかのように描いてます。この白蛇がみかん色に変身するという遊び心が、正月の鏡餅を想起させるユニークな要素でもあり日本の伝統行事であるお正月を、干支の蛇のモチーフに掛け合わせることで、愛らしさと新しさを同時に表現致しました。
また、ポップアートの要素を取り入れたことで、干支という伝統的な存在をより軽妙で身近なイメージへと昇華させ、型にはまらない色使いや、思わずクスッと笑ってしまうような発想は「普段の生活のなかでも楽しめるアート」を目指したいという思いを体現させています。本作を通じて、日常にある伝統や文化をさらに面白く、彩り豊かなものとして感じてもらえたら幸いです。